ご挨拶
第10回胎児MRI研究会へようこそ
第1回胎児MRI研究会学術集会を主催してからはや10年が経ちました。第10回胎児MRI研究会学術集会をもう一度主催させていただきます。この間、胎児スクリーニングの普及により多くの重症疾患が胎児診断され、詳細な胎児診断情報をもとに出生後の治療計画が立てられるようになりました。胎児MRI検査が数多く行われおり、超音波(US)を補完するMRIの役割はますます大きくなっています。
過去9回の胎児MRI研究会では、以下の2つのテーマを中心に開催されてきました。第1は、診断に役立つ高品質の胎児MRI画像をいかに撮像するかという技術的なテーマ、第2は、中枢神経、脊髄神経系疾患や、横隔膜ヘルニア、肺のう胞性疾患など、胎児MRIが診断に役立つとされてきた疾患の典型的な画像を共有することでした。
発足から10年が経過し、胎児MRI研究会も新たな発展を目指す時期に来ています。今回は、これまで研究会で扱われてこなかった、胎児消化管疾患を対象とし、USとMRIのコラボをメインテーマとしました。具体的な疾患としては、食道閉鎖と直腸肛門奇形です。どちらも頻度が多く、重症度も高いこの疾患の胎児診断は他の疾患に比較して十分とは言いえません。USとMRIのコラボにより、質の高い胎児診断を目指したいと考えています。
昨年の研究会のテーマであった、「まず基本から」を引き継ぎそのpart2として、MRI独特の用語であるT1 T2をわかりやすく解説する講演を計画しています。また、昨年の企画で好評をいただいたMRI画像症例をクイズとしてあらかじめ参加者に供覧し、読影所見を応募していただき、当日会場で正解を解説していただくコーナーを今回も設けたいと考えています。
日ごろの疑問を一つでも解決し、明日からの診療に役立てていただきたいと願っています。
胎児診断にかかわる多くの方々のご参加を心からお待ちしています。
第10回胎児MRI研究会 大会長
神奈川県立こども医療センター 新生児科 川瀧元良