ご挨拶

佐村修

 第11回日本胎児MRI研究会学術集会を担当いたします佐村が今回の学術集会を代表して一言、挨拶申し上げます。2025年度は胎児MRI研究会が日本胎児MRI研究会と名称変更され新たなスタートとなりました。私自身は第2回胎児MRI研究会学術集会を担当しましたが、10年経過し、もう一度主催させていただくこととなりました。この間、胎児スクリーニングの普及により多くの重症疾患が胎児診断され、詳細な胎児診断情報をもとに出生後の治療計画が立てられるようになりました。胎児MRI検査も数多く行わるようになり、超音波検査を補完しつつ、診断に繋げるMRI検査の役割はますます大きくなっていると感じています。

 以前主催した第2回の胎児MRI研究会では、「胎児脳に迫る」と「胎児MRI撮影時のポイント」の2つをテーマに開催いたしましたが、今回は、「一歩進める胎児MRI〜基礎+応用で診断力アップ〜」としました。最新技術の動向から今すぐ現場で活用できる実践的な内容になっております。教育講演は診断に役立つ高品質の胎児MRI画像をいかに撮像し読むかという基本的な内容と、胎児中枢神経系や胎児消化管をどのように胎児MRIで評価していくかという内容について、それぞれのエキスパートの先生にご講演いただきます。また、例年好評のイメージ・インタープリテーション・セッションもあります。今回、いままでにこの研究会ではなかった一般演題を募集し発表していだき討論いたします。最後に台湾ゲストによる症例提示・ディスカッションも行う予定としております。

 この研究会の発足から10年以上が経過し、会則も改定され新たな発展を目指します。しかしながら、胎児MRI検査は未だ保険収載されておらず、その有用性は明らかとなっていますが、一般臨床検査として広く行われているわけではありません。この研究会を通してこの検査が胎児疾患の診断精度を上げ、さらに予後を改善する有用性があることを示していければと考えております。また、この研究会を通じて日ごろの疑問を一つでも解決し、明日からの診療に役立てていただきたいと願っています。

 胎児診断にかかわる多くの方々のご参加を心からお待ちしています。 今回も配信を準備しました。全国の皆様にも分野や職の違いを超えて、同じ志を持つ多くの方にこの経験を共有していただき、活発な意見交換が行われることを期待しています。

第11回日本胎児MRI研究会学術集会
大会長 佐村 修
東京慈恵会医科大学産婦人科学講座 教授