ご挨拶

第9回胎児MRI研究会開催にあたって

赤坂好宣

この度第9回胎児MRI研究会の大会長を仰せつかりました兵庫県立こども病院 放射線診断科の赤坂好宣と申します。
胎児MRIは当院では1994年に撮像をはじめましたが、当時は胎児にMRIを撮って害はないのだろうかとか動いてよくわからない画像があったりして恐る恐る撮っていたように思います。今から思えば先に産科で行われた超音波検査の確認作業が主な仕事でした。
今では画質が数段良くなり、ほぼ出生後の様に撮像できます。また、胎児期にMRIを撮ることの安全性も確立しています。今では超音波検査以上に有用な情報が得られる可能性があります。しかしながら、あまり胎児MRIや新生児期の疾患に慣れていない放射線科医にとってはうまく描出されていても診断自体がそう容易いことではありません。

今研究会では、胎児MRIに精通していない診断医や臨床医にも広く胎児MRIを活用していただきたく、テーマを“まずは基本から-苦手意識の克服に向けて”と致しました。講師の先生方には珍しい疾患ではなく、各領域のよくある疾患や注意すべき疾患の解説をお願いしました。また、教育講演では知っておくべき撮像法のわかりやすい解説をお願いしております。
胎児MRIを日頃より活用している施設においても超音波検査とは異なるMRIの利点を知ることによってさらに臨床に貢献できるのではないかと思われます。

そこで今回は、疾患の重症度のヒントについて、最新の知見を織り交ぜてのご講演も予定しております。
今回新しい試みとして、イメージインタープリテーションセッションを企画いたしました。
これは放射線科医にはおなじみですが、大きな学会では必ず催される人気のコーナーです。
キー画像と簡単なプロフィールを事前に提供しておいて、何の疾患かを診断していただくという内容です。放射線診断医の読影力の高さを知って頂くことを目的としています。
最初に申しましたように、胎児MRIに興味はあるがあまりなじみのない先生方にも楽しめるように企画いたしました。明日からの胎児MRIがどの施設でもより臨床の場で活躍できるようになることを願っています。

第9回胎児MRI研究会 大会長
兵庫県立こども病院 放射線診断科 赤坂好宣