会長ご挨拶
このたび、2026年3月6日(金)~7日(土)に大阪大学吹田キャンパス内コンベンションセンターにて、第22回日本胎児治療学会を開催させていただくこととなりました。
日本胎児治療学会は、設立から21年を迎えました。この間、先人の先生方の情熱とたゆまぬ努力によって、日本でも高精度な胎児診断が可能となり、さまざまな胎児治療が行われるようになりました。かつては限られた施設でしか語られなかった胎児医療も、今では多くの患者さんにとって“当たり前の選択肢”となりつつあります。
一方で、私たちが今まさに向き合うべき課題もあります。
胎児診断の精度や深さにはいまだ地域や施設による差があり、治療のタイミングを逸してしまうケースもあります。また、胎児診断された胎児の家族に対するカウンセリングや継続的なサポート体制、胎児医療に関心をもつ若手医師の育成にも、さらなる取り組みが求められています。
今回、胎児診断・治療と出生後の診療の両方に興味を持つ小児外科医としての視点から、今回の学会では『胎児医療を未来へ紡ぐ』をメインテーマに掲げ、以下の3つの主題を中心に議論を深めたいと考えております。
- 地域に広げる胎児診断ネットワーク ― 胎児治療を諦めないために
- 胎児と家族をつなぐ架け橋として ― 家族によりそう胎児カウンセリングと支援
- 次世代に伝えたい ― 胎児診断・治療の面白さ
本学会は、小規模であるがゆえに、産科・新生児科・小児外科・麻酔科など多診療科が垣根を超えてフランクに意見が交わせる“濃い”場です。このような自由で熱のある対話からこそ、新たな連携や未来のヒントが生まれることを期待しています。
1日目(3月6日)夜には懇親会を予定しております。診療科や施設を超えた交流の場としてご活用いただき、新しい連携や学びのきっかけになれば幸いです。
また、2日目(3月7日)夕方には、地域の産科クリニックなどの先生方にもご参加いただける公開講座を安藤忠雄先生デザインの『宇宙船地球号』にて予定しております。胎児診断・治療の最新の知見をご紹介し議論を深めていけたらと考えておりますので、多くの先生方にご参加・ご視聴いただけましたら幸いです。
大阪大学吹田キャンパスは一部アクセスにご不便をおかけするかもしれませんが、新大阪駅や伊丹空港からの交通手段もご利用いただけます。
春の訪れを感じるこの季節に、吹田キャンパスで皆さまとお目にかかれることを心より楽しみにしております。
多くの皆さまのご参加と、熱意あふれるディスカッションに触れられることを、心よりお待ち申し上げております。
2025年6月吉日
第22回日本胎児治療学会 大会長
大阪大学大学院医学系研究科 小児成育外科 准教授・病院教授
渡邊美穂